東北工業大学 工学部情報通信工学科 中川研究室


たたみこみ,ラプラス変換のための部分積分
部分積分忘れた? 部分積分は、「掛け算の微分を積分しなおすと、掛け算の微分が簡単な形に直せる」という技です。  たとえばこういう積分

τ = 0τ = t ( t - τ ) eτ

なんだか嫌ですよね。 どこが嫌かというと、積分のなかの、
( t - τ ) と eτ掛け算になってるとこがいやですね。
( t - τ ) だけとか、eτ だけなら、積分してもいいんだけど。

部分積分 こんなとき使うのが部分積分。
掛け算の積分を攻めるには、まず、掛け算の微分から行きます。

A という関数と B という関数の掛け算 A B を微分すると

  ( A B )' = A' B + A B'

になります。これは出来る、知ってるっていう方が多いようです。
単にこの両辺を積分すると

∫ ( A B )' dτ  =  ∫ A' B dτ  +  ∫ A B' dτ

になりますね。∫とdτ をつけただけです。
ここで、左辺は、微分して積分してるから元に戻っちゃいますよね。
よって

  [ A B ]   =  ∫ A' B dτ  +  ∫ A B' dτ

ここで右辺を見ると、 A' と B とか、A と B'とか、掛け算の微分になってます。
A と B の組み合わせによっては、 A B' の積分を計算するより、 A' B の積分を計算するほうが簡単なこともありますよね。 こんなとき、この式を使えば ∫ A B' dτ を ∫ A' B dτ で書き換えできますよね。

   ∫ A B' dτ   =  [ A B ]   -  ∫ A' B dτ

定積分のときも同じです。

   ∫0t A B' dτ   =  [ A B ]0t -  ∫0t A' B dτ
 
この書き換え技を部分積分と呼んでおります。 高校2年で習います。

∫ A B' dτ より
∫ A' B dτ の方が
簡単になるように
使うのがコツです。
逆に使うと
かえって難しく
なってしまい
意味が無い

使ってみよう
さっきの

f * g =  ∫τ = 0τ = t ( t - τ ) eτ

の eτ のとこは、eτ の微分(eτ)’ と考えてもいいので

    =  ∫τ = 0τ = t ( t - τ ) (eτ)’ dτ

部分積分を使って書き換えると

    = [ ( t - τ ) eτ  ]τ = 0τ = t  -  ∫τ = 0τ = t ( t - τ ) ’ eτ dτ

積分の中では、変数は τ だけで、 t は定数扱いなので

    = [ ( t - τ ) eτ  ]τ = 0τ = t  -  ∫τ = 0τ = t ( 0 - 1 )  eτ dτ

後半が簡単になってラッキーですね

    = [ ( t - τ ) eτ  ]τ = 0τ = t  +  [ eτ ]τ = 0τ = t 

あとはτ に代入して引けば

    = ( t - t ) et - ( t - 0 ) e0  +   et - e0

    =   0   -   t   +   et  - 1

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