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東北工業大学紀要T、20, pp173-179, 2000
http://doi.org/10.51048/00000237
衛星電位と周辺プラズマの観測から求めた
低密度プラズマ中のGEOTAIL衛星の光電子電流密度
石井琢、中川朋子、鶴田浩一郎、早川基、向井利典
Photoelectron Current Density Emitted from
GEOTAIL Spacecraft in Low-density Plasma
Estimated from Measurements of Spacecraft
Potential and Ambient Plasma
Takuma Ishii, Tomoko Nakagawa, Koichiro Tsuruda, Hajime Hayakawa,
Toshifumi Mukai
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宇宙空間での電場計測においては,衛星の電位を正確に知ることが重要である。
特に低密度プラズマ領域では電極と周囲のプラズマとの間のインピーダンスが高く,
衛星電位を知ることなしには正確な電場計測は不可能に近い。
プラズマ中の衛星の表面電位は,
表面を出入りする様々な電流の総和が零となるように自動的に調整される。
電離層より高度の高い地球磁気圏中では,
周辺プラズマ密度が低く温度が高いため,
光電子による電流が無視できない。
太陽紫外線が当たっている日照時には,
光電効果によって放出される光電子が主流となり,衛星電位は正の値になる。
本研究では,
地球磁気圏及び惑星間空間の低密度プラズマ中で
GEOTAIL衛星の表面から出る光電子電流の密度を,
周辺プラズマ電子電流とのつりあいから,
衛星電位と周辺プラズマ密度・温度の実測値を用いて求めた。
衛星搭載の電場観測装置EFDと低エネルギー粒子観測装置LEPによって
1993年9月14日から1998年10月31日の約5年間に
地球から太陽方向に約20万kmないし反太陽方向に約134万kmの位置で
取得されたデータを用いた結果,
光電子電流密度は,
衛星電位が0[V]の時の値にして50±25[10-6A・m-2]であった。
衛星の表面を平面近似し,
衛星電位が0[V]から3[V]の範囲について
この光電子電流密度を衛星電位の指数関数とみてフィッティングすると,
光電子エネルギーは1.3±0.5[eV],光電子密度は1.8±1.0[109m-3]となった。
Current density of net photoelectrons emitted from the GEOTAIL spacecraft was estimated from measurements of the floating potential of the
spacecraft together with the temperature and
density of the ambient plasma in interplanetary space and in the Earth's magnetosphere during
the period from September 14, 1993, to October
31, 1998, by assuming balance of the currents
caused by photoelectrons and ambient thermal
electrons. The saturation current density was
50±25[10-6A・m-2]. By fitting the photoelectron
current density to an exponential function of
the spacecraft potential, the number density of the photoelectrons was calculated to be
1.8±1.0[109m-3]
at the surface of the spacecraft,
and the energy of the photoelectrons was 1.3
±0.5 [eV].
ほぼ同じ内容の英文査読論文は
- Nakagawa,T., T. Ishii, K. Tsuruda, H. Hayakawa, and T. Mukai,
- Net current density of photoelectrons emitted
from the surfaceof the GEOTAIL spacecraft,
Earth Planets Space, 52, pp.283-292, 2000.
Abstract
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訂正: Errata
に出版されています。
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