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解析 I (8回目)三角関数の微分

\( f(x) = \sin{x}\) の 導関数を求めよ

導関数は
\begin{align}f'(x) = \lim_{h \rightarrow 0} \frac{f( x+{h } ) - f(x)}{h }\end{align}
\( f( x ) = \sin{x } \) の式中の $x$ は「記入欄」だと思って
\( f( ) = \sin{( )\ } \) と書き、

\( f( x+{h } ) = \sin{(x+h ) \ } \)

これを代入
\begin{align}f'(x) &=& \lim_{h \rightarrow 0}  \frac{\quad f( x+{h } )  - f(x) }{h } \\ \\ &=& \lim_{h \rightarrow 0} \frac{ \sin{(x+h ) \ } - \sin{( x )} }{h } \end{align}
さて、サイン同士の引き算は、角度を引き算してはいけないですよね。
例、$\sin{60^\circ} -\sin{30^\circ}$ は $\sin{(60^\circ -30^\circ )}$ ではありませんね。

そこで、前回勉強した皆さんは、
加法定理 $\sin{(x+h )} =\sin{x} \cos{h} + \cos{x} \sin{h} $ を
使ってみたくなるわけですが、これを代入しても
\begin{align}f'(x) &=& \lim_{h \rightarrow 0} \frac{ \sin{x} \cos{h} + \cos{x} \sin{h} - \sin{( x )} }{h } \end{align}
長くなっただけで、何も消えないし、何もいいことないですね。

なんで何も消えないかというと、
前半 $\sin{x} \cos{h} + \cos{x} \sin{h} $ (掛け算があって長い)と
後半 $\sin{x}$ (掛け算なし、シンプル)が全然似てないのですよね。

そうはいっても、前半は$x+h$、後半は$x$、違いがあるのは仕方ない、、、
例えていうなら、1000円+100円と、1000円は違う、、、

ここで発想をちょっと変えて、1000円を基準に考えるのでなく
1050円を基準に考えてはどうでしょう。
前半は1050円+50円、後半は1050円-50円。違いはあるけど形は似てる。
つまり
前半 $(x+h)$を、$(x+{h\over 2}+ {h\over 2})$
後半 $(x)\quad $を、$(x+{h\over 2}-{h\over 2})$ と考えます。
\begin{align}f'(x) &=& \lim_{h \rightarrow 0} \frac{ \sin{(x+h ) \ } - \sin{( x )} }{h } \quad \quad \quad \quad \\ \\ &=& \lim_{h \rightarrow 0} \frac { \sin{(x+{h\over 2}+ {h\over 2}) } - \sin{(x+{h\over 2}- {h\over 2}) }} {h } \end{align}
書くのが大変なので、 $(x+{h\over 2})$ を A, ${h\over 2}$ をBとおくと
\begin{align}f'(x) &=& \lim_{h \rightarrow 0} \frac{ \sin{(A+B ) \ } - \sin{(A-B)} }{h } \quad \quad \quad \quad \quad \\ \\ &=& \lim_{h \rightarrow 0} \frac { \sin{A}\cos{B}+\cos{A}\sin{B} - ( \sin{A}\cos{B}-\cos{A}\sin{B}) } {h } \end{align}
分子の後半に( )をつけるのを忘れないことが大切です。
マイナスを分配すると
\begin{align}f'(x) &=& \lim_{h \rightarrow 0} \frac { \sin{A}\cos{B}+\cos{A}\sin{B} - \sin{A}\cos{B}+\cos{A}\sin{B} } {h } \end{align}
$ \sin{A}\cos{B}$ から $ \sin{A}\cos{B}$ を引いたら消えるから \begin{align}f'(x) &=& \lim_{h \rightarrow 0} \frac { \cos{A}\sin{B} + \cos{A}\sin{B} } {h } \end{align}
同じものが2つあるので当然 \begin{align}f'(x) &=& \lim_{h \rightarrow 0} \frac { 2\cos{A}\sin{B} } {h } \end{align}
A、B を戻して \begin{align}f'(x) &=& \lim_{h \rightarrow 0} \frac { 2\cos{(x+{h\over 2})}\sin{({h\over 2})} } {h } \end{align}
ここで $h \rightarrow 0 $ するわけですが、
$\cos{(x+{h\over 2})}$ はいいとして、分母の $ h $が0に行ったら困りますね。
分子の $\sin{({h\over 2})} $ も0に行きますね。

この式の分母、分子に${1\over 2}$をかけると \begin{align}f'(x) &=& \lim_{h \rightarrow 0} \frac {{1\over 2}\cdot 2\cos{(x+{h\over 2})}\sin{({h\over 2})} } {({h \over2}) } \\ \\ &=& \lim_{h \rightarrow 0} \quad \frac {\quad \cos{(x+{h\over 2})}\sin{({h\over 2})} } {({h \over2}) } \end{align} になります。 $\displaystyle \frac {\sin{({h\over 2})} } {({h \over2}) } $ がどうにかなってくれるとよいのですが

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