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解析 I (8回目)三角関数の微分

\( f(x) = \sin{x}\) の 導関数を求めようとしてでてきた \begin{align} \lim_{h \rightarrow 0} \frac{\sin{({h\over 2})} } {({h \over2}) } \end{align} 角度 $({h\over 2})$ を $\theta$ とかくと \begin{align} \lim_{\theta \rightarrow 0} \frac{\sin{\theta} } {\theta } \end{align} ですね。「サイン角度」と「角度」の比は、
角度が0に近づくとどうなるのでしょうか。

ここから、この値を求めていきます。
やりかけの \( f(x) = \sin{x}\) の 導関数の問題は
(余白5行くらい残して)いったん置いて、
新しいページの最初からノートを書いてください。

$\theta \rightarrow 0$ のときの $ \frac{\sin{\theta} } {\theta } $


角度 $\theta$ の出てくる話なので、半径1の円に角度 $\theta$ を書いてください。
この図に書き込みをしていくので、大きめに書いてね

円の中心をO(Origin=原点のOオーです)とし、
$\angle$AOP が角度 $\theta$ になるように、円周上に点A と点P をとります。

扇形AOP の面積
扇形AOP の面積 S1 は、角度に比例しますよね。
角度が $2\pi $なら円なので、円の面積 $\pi \cdot 1\cdot 1$
角度が $\theta$ なら S1
てことは
扇形の面積 S1:円の面積 $\pi $ = 角度$\theta$ : 1周$2\pi $
\begin{align} \frac{扇形の面積 S_1}{円の面積\pi} = \frac{\theta}{2\pi} \end{align} 両辺に$\pi$かければ、 扇形の面積 S1=$\displaystyle {\theta \over 2}$


三角形AOP の面積
次に点Aと点Pを線でつないで、三角形AOP の面積S2 を求めてください。
底辺は1ですね。
高さyは、図の点線のところですが、 斜辺が1なので \begin{align} \sin{\theta }= \frac{高さy}{斜辺1} \end{align} より、  高さ$y= \sin{\theta }$ですね。 よって
三角形AOP の面積S2 = $\displaystyle {1\over 2}\cdot 1\cdot \sin{\theta} = {\sin{\theta} \over 2}$


三角形AOT の面積
次に点Aから、線分OAに垂直に線を引いて、
線分OPの延長線と交わった点をTとしてください。
$\angle$OAT には、直角を表す小さな四角□を書いてください。

三角形OAT の面積S3 を求めてください。
底辺は1ですね。
高さは線分ATの長さです。角度$\theta $ を使ってかくと \begin{align} \tan{\theta }= \frac{線分ATの長さ}{底辺1} \end{align} なので線分ATの長さは$\tan{\theta}$ですね。 よって
三角形AOP の面積S3 = $\displaystyle {1\over 2}\cdot 1\cdot \tan{\theta} = {\tan{\theta} \over 2}$


はさみうち
扇形と三角形の面積を比べると、
三角形AOP の面積S2 < 扇形AOP の面積 S1 < 三角形OAT の面積S3

なので \begin{align} {\sin{\theta} \over 2} < {\theta \over 2} < {\tan{\theta} \over 2} \end{align} 各項に2をかけても同じなので \begin{align} \sin{\theta} < \theta < \tan{\theta} \end{align} 1本の式に不等式が2つあるときは、無理に一度に扱わずに
\begin{align} \sin{\theta} < \theta \quad と\quad \theta < \tan{\theta} \quad の \end{align} 2つの不等式に分けて考えると考えやすいです。

$\theta $ がプラスなら、 左側の式 $\sin{\theta} < \theta$ の両辺を$\theta $で割って
\begin{align} {\sin{\theta} \over \theta} < 1 \end{align} になります。知りたかった$ {\sin{\theta} \over \theta}$ が出てきましたね。

右側の式の $\tan{\theta}$ を書き直すと
\begin{align} {\theta } < {\sin{\theta} \over \cos{\theta}} \end{align} $\theta \rightarrow 0$ では、$\cos{\theta}$ は$\cos{ 0 } = 1$ に近いのでプラス、
プラスの数をかけても不等式の大小関係は変わらないので
\begin{align} {\theta } \cos{\theta} < \sin{\theta} \end{align} 両辺を$\theta $で割ると \begin{align} \cos{\theta} < {\sin{\theta} \over \theta} \end{align} 知りたかった$ {\sin{\theta} \over \theta}$ がまた出てきました。

$ {\sin{\theta} \over \theta}$ が出てくる式2本を、 $ {\sin{\theta} \over \theta}$ を中心にまとめると、 \begin{align} \cos{\theta} < {\sin{\theta} \over \theta} < 1 \end{align} $\cos{\theta} $ と 1 で挟んであります。 この状態で $ \theta \rightarrow 0 $します。
両側の極限はどちらも1 \begin{align} \lim_{\theta \rightarrow 0} \cos{\theta} = \cos{0} = 1 \quad \quad \lim_{\theta \rightarrow 0}1 = 1 \end{align} 挟んでいる両側がそれぞれ1に収束するので、
挟まれている真ん中の式も1に収束するしかないですよね。 \begin{align} \lim_{\theta \rightarrow 0}{\sin{\theta} \over \theta} = 1 \end{align}
注意: \begin{align} 1 < {\sin{\theta} \over \theta} < 1 とかかないこと \end{align} 1より大きく(1ではない) 1より小さい(1ではない)値はないので、
こう書いてしまうと答えがなくなる、、、


もし$\theta$ がマイナスだったら、
プラスの数 $t$ を使って $\theta =-t$ とかいて代入すると \begin{align} \lim_{\theta \rightarrow -0}{\sin{\theta} \over \theta} = \lim_{t \rightarrow +0}{\sin{( -t )} \over -t } \end{align} と書き換えられますよね。$\sin{( -t )}$ は$-\sin{t}$ なので、
結局同じ計算になりますよね。(教科書p.17)


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