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中川朋子,斎藤尚生,湯元清文,大家寛,森岡昭,飯島雅英,小山孝一郎,
阿部琢美,
「さきがけ」による3000REのマグネトテイル磁場観測,
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第93回地球電磁気・地球惑星圏学会,東京,1993年3月21日.
1985年1月打ち上げ以来 0.8-1.0 AU の惑星
間空間を観測してきた探査機「さきがけ」は、
1992年1月に地球近傍の軌道に軌道修正され,
1992年9月26−27日にかけて地球から3000
RE の距離でマグネトテイル を観測した。この
期間中,「さきがけ」搭載の波動・磁場・太陽
風プラズマの3観測装置とも良好なデータを取
得した。 遠距離におけるテイル観測としては
過去に Mars3 (3400RE, cf. Vaisberg et al.,
1973)と Pioneer7 (3400RE,cf. Intriligator
et al.,1979)があるが,どちらもイオンフラッ
クスの減少及び E/q比の変化に基づいてテイル
を同定したものであり,磁場を含む複数の観測
器で同時観測した例はおそらく初めてである。
図に「さきがけ」の軌道(GSE座標系)および磁
場ベクトルを30分おきに示す。 9月26日午後から
27日にわたるすべてのパス(26日 16:25-16:59/
21:32-22:06 / 27日 2:39-3:13 / 7:46-8:20/
12:54-13:26 / 17:54-19:39)で,Bxの卓越した
ほぼ太陽向きの磁場が観測された。磁場ベクトル
はこの間非常に安定していた。
太陽風磁場がこれほど長期にわたって太陽向き
となることは通常ほとんど考えられず,「さきが
け」の観測した磁場は3000REまで伸びたマグネト
テイルと考えられる。 観測された磁場の様子は
ローブに非常によく似ているが,プラズマ観測装
置によって太陽風に似た速度・密度が観測されて
ていることが興味深い。
References:
Intriligator et al., Geophys.Res.Lett. 6, p585, 1979.
Vaisberg et al., Cosmic Research 11, p666, 1973.
Magnetic Field Observation of the Earth's Magnetotail at 3000 RE by SAKIGAKE
T. Nakagawa1, T. Saito2, K. Yumoto3, H. Oya2, A. Morioka2, M. Iizima2, K. Oyama4, T.Abe5
The Japanese interplanetary spacecraft SAKIGAKE encountered the Earth's magnetic tail on
September 26 and 27, 1992. The ring-gore magnetometer onboard SAKIGAKE observed magnetic
field vectors which were extremely parallel to the Sun-Earth line, suggesting that the
spacecraft was in the distant tail lobe.
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中川朋子,湯元清文,斎藤尚生,大家寛,森岡昭,飯島雅英,小山孝一郎,
阿部琢美,
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距離2000万kmにおける「さきがけ」マグネトテイル磁場観測,
科学衛星・宇宙観測シンポジウム,神奈川,1993年7月7日.
1985年1月打ち上げ以来 0.8-1.0 AU の惑星間空間を観測してきた
探査機「さきがけ」は、1992年1月に地球並走軌道になるよう軌道修正され,
1992年9月26−27日にかけて地球から2千万km(3000RE,REは地球半径)の距離で
マグネトテイル を通過した。
この期間中,「さきがけ」搭載の波動・磁場・太陽風プラズマの3観測装置とも
良好なデータを取得した。1000RE以遠における過去のテイル観測としては,
1000REで磁場観測を行った Pioneer 7 (cf.Fairfield,1968),
1600RE で波動観測を行った Pioneer 8 (cf.Scarf,1987)があるが,
3000RE 以遠となると Mars-3 (3400RE, cf.Vaisberg et al.,1973) と
Pioneer 7 (3100RE,cf.Intriligator et al.,1979) が
イオンフラックスの減少及びE/q比の変化に基づいて
テイルを同定したにとどまり,磁場を含む複数の観測器で同時観測した例は
今回が初めてである。
観測は間欠的に行われたが,26日午後から27日にわたる
全てのパス(26日 16:25-16:59/21:32-22:06/
27日 2:39-3:13/7:46-8:20/12:54-13:26/17:54-19:39)で,
角度φ= tan-1(By/Bx) (太陽方向がφ=0度)の卓越した
ほぼ太陽向きの磁場が観測された。
磁場ベクトルはこの間非常に安定していた。
これほど長期にわたって太陽風磁場が太陽向きとなることは
通常ありえないので,
「さきがけ」の観測した磁場は 3000REまで
伸びたマグネトテイルであると考えるのが妥当である。
「さきがけ」軌道(GSE座標系)上に磁場ベクトルを描いてみると、
平均的な太陽風磁場ならx-y面内でx軸に対し45度傾いた方向を指すのが普通であるが,
地球の真後ろから 200 RE ほど朝側にかけて,まっすぐ x方向を向いたローブ状の磁場がはっきり見られる。
このローブ状磁場の観測された位置は,これまで考えられているテイルの位置(太陽−地球を結ぶ線より4ないし5度夕方側)よりかなり朝側へずれているが,
これはテイルの太さや運動を知るうえで大きな手がかりとなるであろう。また,太陽風磁場にはふつうかなりの擾乱があるが,
ローブ状磁場の期間だけは非常に静かで,磁場ベクトルが黄道面内におさまっていた。
一方,プラズマ観測装置は,磁場でみたテイルローブの領域において,
太陽風とまったく変わらないプラズマを観測した。
テイルローブ状の磁場が観測された 9月26−27日の太陽風は,
速度,密度とも周囲の太陽風と変わらない値であった。
温度も通常の太陽風の範囲内であった。
この解釈としては,(1) ローブ状磁場が既に太陽風と再度つなぎ替わり,
地球から切り離されたものを観測した,
(2) 3000REほどの距離では太陽風がテイル中に浸透し,
プラズマ的には磁気圏と太陽風の境界が曖昧になっている,
という2つの可能性が考えられる。
さらに「さきがけ」の波動観測は,9月26−27日
の間,100-2800Hz の広い周波数域において波動強
度が非常に高くなっていることを示した(図9)。
これは前後のsector境界通過時の波動強度増大や
高速太陽風にともなう波動強度増大よりずっと高
いレベルである。また,700Hz 以上の高周波まで
波動のレベルが上がっていることが特徴的であり,
通常の太陽風中とは明らかに異なっている。
以上のように,「さきがけ」は 距離2千万km
(3000RE)において地球磁気圏のテイル,あるいは
少なくともテイルの影響を受けた領域の総合的な
観測に成功した。その後もなお良好な状態で太陽
風・地球磁気圏の観測を続けている。
(注:「さきがけ」はその後も観測を続けた後、
距離とともに送信電波が微弱となり
姿勢制御の燃料も残されていないことから
1999年1月8日に送信電波を停止し寿命を終えました。)
参考文献
Fairfield,D.H., Simultaneous measurements
on three satellites and the observation
of the geomagnetic tail at 1000 RE,
J.Geophys.Res, 73, 6179, 1968.
Intriligator,D.S, H.R.Collard,J.D.Mihalov,
O.L.Vaisberg, and J.H.Wolfe, Evidence
for Earth magnetospheric tail associated
phenomena at 3100 RE, Geophys.Res.Lett.,
6, 585, 1979.
Scarf,F.L., Pioneer 8 traversal of the
geomagnetic tail at 1600 RE, J. Geophys.
Res., 92, 11201, 1987.
Vaisberg,O.L., A.V.Bogdanov, N.F.Borodin,
A.V.D'yachkov, A.A.Zertsalov,I.P.Karpinskii,
S.P.Kondakov, Z.N.Mamotko,
B.V.Polenov, S.A.Romanov, V.N.Smirnov,
and B.I.Khazanov, Measurement of low-
energy particles on board the Mars-2
and Mars-3 automatic interplanetary
stations, II, preliminary results,
Cosmic Research, 11, p666, 1973.
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Nakagawa, T.,
Interplanetary planar magnetic structures and magnetic loops
on the Sun,
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7th Scientific Assembly of IAGA, Buenos Aires, 1993年8月12日.
Planar magnetic structure is an interplanetary magnetic
structure in which magnetic field vectors are highly
variable in both magnitude and direction but all parallel
to a plane which is inclined to the ecliptic plane.
Occurrence properties of the structures show no significant
association with flares, filaments, or solar wind velocity
gradients. This magnetic structure is expected to correspond
to re-entrant loops of magnetic field lines in the
photosphere which are common in the vicinity of the sector
boundary. Orientations of the planes of the structures
suggest non-uniform accelelation of the solar wind plasma.
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中川朋子,内田豊,
惑星間空間の平面状磁場構造と太陽面活動域膨張との対応,
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第94回地球電磁気・地球惑星圏学会,神戸,1993年10月12日.
太陽風が一様かつ定常的に吹き出すものなら,惑星間空間磁場は常に
Archimedean spiralに沿った方向のベクトルとなるはずであるが,
実際の惑星間磁場はこの方向から大きく外れていることが少なくない。
spiral方向から外れた磁場は太陽風の源あるいは惑星間空間の
非一様性・非定常性を反映するものと考えられる。
このような非spiral磁場の例として,
磁場ベクトルが黄道面と或る角度をなす平面内に収まっていながら,
方向・強度とも激しく変化するobject(低速・高密度・高βのプラズマ雲)が
「さきがけ」によって発見され,
平面状磁場構造(planar magnetic structure)と名付けられた。
この構造の発生機構を考えるため,これまで高速太陽風や太陽風速の上昇域との相関, flare,filament, eruptionof active prominencesとの相関を調べたが,どれとも有為な関係は見られなかった。太陽磁気圏のsector境界とは時折よく対応したが例外も少なくない。太陽自転に伴う回帰性があり,太陽表面での生成を示唆するものと考えられる。
一方,或る平面に平行なほとんど全ての方向をとる磁場ベクトルを説明するためには,惑星間空間でつながったループ状の磁力線を考えると都合がよい。上記の発生特性を考え合わせ,太陽表面にあったループ状の磁力線が惑星間空間に引き出され平面状構造として観測されるという仮説を立てた。これを検証するには,惑星間磁場の平面状構造と太陽面の磁気構造との相関を直接調べるのが有効である。
本研究では,「さきがけ」の観測した平面状磁場構造を,同時観測された太陽風速度を使って太陽表面まで戻し,その領域の「ようこう」X線画像を用いて太陽面上の構造との対応を調べた。解析期間は,同定の容易さのため なるべく太陽面の静穏な1993年1-7月とした。この期間中,3つの典型的な平面状磁場構造が観測されたが,単純な速度モデルを仮定すると3つとも「ようこう」で発見されていた「活動域膨張」を示している領域に対応することが解った。
Tomoko Nakagawa (Tohoku Institite of Technology),
Yutaka Uchida (Dept.Astronomy, University of Tokyo)
Correlation between Interplanetary Planar Magnetic
Structures and Active Regions on the Sun
Planar magnetic structures in which interplanetary
magnetic field vectors are highly variable and are
parallel to a plane are correlated with active
regions on the Sun by using Sakigake solar wind data
and Yohkoh soft X-ray images of the Sun. During the
period from January to July, 1993, three typical
planar magnetic structures well coincided with the
expanding active regions discovered by Yohkoh.
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中川朋子,内田豊,
太陽面活動域膨張の対応物としての 惑星間空間の平面状磁場構造
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地球惑星科学関連学会合同大会シンポジウム,仙台,1994年3月21日.
平面状磁場構造(planar magnetic structure)は,太陽から 0.8 - 1.0AU 離れた惑星間空間で観測された,異常な方向の磁場によって特徴づけられる0.06AU程度の大きさを持つobjectである。この中では,磁場ベクトルが
(1) 黄道面と或る角度をなす平面内に収まっていながら,
(2) 方向・強度とも激しく変化しており,
Archimedean spiralの方向からしばしば大きく外れて南向き・北向きとなったり,Archimedean spiralに沿って太陽向き・反太陽向きとなったりということが頻繁に起こっている。
このような磁場構造を,一様・定常的な太陽風で説明することは困難である。spiral方向から外れた磁場は,惑星間空間,あるいは太陽風の源の非一様性・非定常性を反映するものと考えられる。この構造の惑星間空間での生成の可能性を考え,まず,高速太陽風や太陽風速の上昇域との相関が調べられたが,どちらとも有為な関係は見られなかった。一方,この現象には太陽自転に伴う回帰性があり,太陽表面の特定の領域と強い関連があることが示された。太陽磁気圏のsector境界とは時折よく対応したが例外も少なくない。 flare, eruption of active prominences and dark filaments とは 有為な関係は見つかっていない。
上記の発生特性と磁場構造の特徴を説明するため,太陽表面にあった ループ状の磁力線が 惑星間空間に引き出され平面状構造として観測されるという仮説を立てた。惑星間空間でつながったループ状の磁力線を考えると,或る平面に平行な,ほとんど全ての方向をとる磁場ベクトルを説明できるためである。
一方,「ようこう」軟X線望遠鏡によって,太陽面上の活動域からループ状の構造が惑星間空間に向かって放出されている様子が捉えられた。この「活動域膨張」はflareの無いときでも観測されている。 本研究は,この「活動域膨張」が惑星間空間の平面状磁場構造に対応する可能性を検討する。
解析に用いたデータは惑星間空間探査機「さきがけ」の磁場観測,および「ようこう」X線画像である。解析期間は,同定の容易さのため なるべく太陽面の静穏な 1993年1-7月とした。この期間中,「さきがけ」によって観測された3つの典型的な平面状磁場構造について,太陽風速データを用いて構造が太陽から放出された日時を求め,その発生源と思われる領域を「ようこう」X線画像を用いて調べた。その結果,平面状磁場構造の発生源は3つとも「ようこう」で発見されていた「活動域膨張」を示している領域に対応することが解った。発生源とみられる活動域のうち少なくともひとつはflareを伴っておらず,また,近傍にflareがある場合でも小規模のものしか無く,平面状磁場構造の発生は,
flareによらず「活動域膨張」によるものと考えられる。
Tomoko Nakagawa (Tohoku Institite of Technology),
Yutaka Uchida (Dept.Astronomy, University of Tokyo)
Interplanetary Planar Magnetic Structures as Counterparts
of Expanding Active Regions on the Sun
Planar magnetic structures in which interplanetary magnetic field vector
takes almost all directions that are parallel to a plane are correlated
with EXPANDING ACTIVE REGIONS on the Sun by using Sakigake solar wind data
and Yohkoh soft X-ray images of the Sun. During the period from January
to July, 1993, we could identify three typical planar magnetic structures
with the expanding active regions discovered by Yohkoh. The expanding
active regions are not in general accompanied by flares.
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中川朋子,鶴田浩一郎,西田篤弘,松岡彩子,早川基,R.Lepping,納谷朋広,
手嶋啓一,
IMF By=Bz=0時は静穏な極域電場をもたらすか,
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第92回地球電磁気・地球惑星圏学会,仙台,1994年3月22日
太陽風エネルギーの地球磁気圏への侵入は
IMFによって強くコントロールされている。そ
の主要過程が 反平行磁場の磁気再結合である
なら、磁気再結合を起こしにくいIMF条件を選
ぶことによって、最も静かな状態の磁気圏を
捉えることができると考え、IMF Bz=0 の時の
ポーラーキャップの対流構造を調べ、Bz>0、Bz<0
時の構造と比べた。 解析に用いたのは 1989年
9月 - 1991年5月の IMP-JのIMFデータ、及び
あけぼの」電場観測である。観測された電場は
高度120kmでの対流速度に換算された。
IMF Bz=0時の極域対流は、速度が遅く、また
ポーラーキャップ全体を記述できるような構造が
見つからなかった。同じようなIMF条件で対流の
様子が異なる場合も少なくない。 Bz<0 の場合
に比べれば違いがあるものの、Bz>0 の場合とは
あまり明確な違いは見られなかった。これらの
結果より、IMFが南向きの場合は、磁気再結合が
主要であるものの、それ以外の場合でも、再結合
以外の過程がIMFに無関係に常に働いているもの
と思われる。
T. Nakagawa, K. Tsuruda, A. Nishida, A. Matsuoka, H. Hayakawa,
R. Lepping , T. Naya , and K. Teshima
Polar Cap Convection in Intervals of IMF Bz=0
Electric field characteristics of the polar cap in intervals of IMF Bz=0
are compared with those in intervals of Bz<0 and Bz>0 by using the
electric field data obtained by AKEBONO satellite. Difference in the
characteristics of convection pattern is not clear between intervals of
Bz=0 and Bz>0. In both cases, global convection pattern was not clear.
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Nakagawa, T., Y.Uchida,
Finding the solar source of interplanetary planar magnetic
structures: Expanding active regions,
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8th STEPsymposium of SCOSTEP,仙台,1994年6月7日
An interplanetary object, termed a "planar magnetic structure",
has been identified with "expanding active regions" on the
Sun that have been newly found in Yohkoh soft X-ray telescope
(SXT) data. The planar magnetic structure is an object whose
magnetic field vectors deviate largely from the Archimedean
spiral direction. When traced back to the coronal base
according to their solar wind velocities, typical planar
magnetic structures observed by Sakigake in interplanetary
space were mapped nicely onto the area of the expanding active
regions observed by Yohkoh.
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Nakagawa, T., Y.Uchida,
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Interplanetary expansion of expanding active regions,
2nd SOLTIP symposium,茨城,1994年6月15日
ABSTRACT
An interplanetary object, "planar magnetic structure", whose
magnetic field vectors deviate largely from that of Parker's
solar wind model field, was identified as an "expanding active
region" on the Sun that has been newly found in Yohkoh soft X-
ray data. All of three very typical planar magnetic structures
that appeared in a quiet phase of the Sun well correlated with
expanding active regions. 70% of the solar wind originating
from active regions showed no-Parker type magnetic field.
INTRODUCTION
It has been discovered in the Yohkoh Soft X-ray telescope data
that active-region corona expand outward at speeds of a few to
a few tens of km/s near the Sun [Uchida et al.,1992]. The
expansions occurred repeatedly, almost continually, even in the
absence of any sizable flares. In the Yohkoh Soft X-ray images,
the active-region corona seems to expand far out into
interplanetary space.
Recently, interplanetary observations made by Sakigake
spacecraft have suggested that expanding active-region corona
were observed at 1 A.U. as interplanetary objects termed "planar
magnetic structures". A planar magnetic structure is an object
whose magnetic field cannot be explained by Parker's solar wind
model. The magnetic field vectors are variable in both magnitude
and direction but are all parallel to a plane which is inclined
to the ecliptic plane [Nakagawa et al., 1989]. All the
directions of the magnetic field vectors observed in a planar
magnetic structure can be explained with loop-like magnetic
field lines in the low corona, if they expand into
interplanetary space.
This type of structures are identified at 1 A.U. once or
twice per month, on average. The size of the structure is
typically 0.06 A.U. Occurrence properties of the planar
magnetic structures have suggested that they were not
produced in interplanetary space but originated in the Sun
[Nakagawa, 1993]. They were not associated with fast solar wind
stream nor increase of solar wind speed. Instead, they were
observed recurrently at an interval of 27 days, suggesting
that they are related to certain regions on the Sun. No
correlation was found between the planar magnetic structures
and flares, active prominences nor filament disappearances
[Nakagawa, 1993].
The idea that expanding active-region corona can reach 1 A.U.
to be observed as "planar magnetic structures" has to be
evidenced by correlation between planar magnetic structures and
expanding active regions. Sakigake solar wind data and Yohkoh
soft X-ray images were used for this purpose.
To begin with, very typical planar magnetic structures were
examined to see whether or not they correspond to expanding
active regions. Next, criteria for planar magnetic structures
were relaxed in order to examine sufficient number of events.
At last, all the probable observations of expanding active
regions in interplanetary space were examined independently of
planar magnetic structures, to see whether or not they have some
typical magnetic structures of no-Parker type solar wind.
TYPICAL PLANAR MAGNETIC STRUCTURES AND EXPANDING ACTIVE REGIONS
This analysis was based on the data obtained by Sakigake and
Yohkoh during the period from January 1 to July 15, 1993, when
the solar surface was not very much crowded by active regions
during the period. Too many active regions make it difficult
to correlate an interplanetary object to one candidate.
Typical planar magnetic structures were picked up in the
Sakigake data set by using the following conditions for planarity
and variability of the interplanetary magnetic field;
(1) Bn/B < 0.1,
and
(2) dB/B > 0.7,
where Bn, B and dB are average of the magnetic field component
normal to the plane, averaged magnitude of the magnetic field,
and square root of the deviation of magnetic field vector
(average of dBx**2+dBy**2+dBz**2), respectively. According to the
criteria, there were three typical planar magnetic structures
that appeared on July 3, July 11, and July 1, 1993.
The three events were projected onto the Sun according to
the solar wind speed. Time for each solar wind plasma to travel
1 A.U. was calculated on the assumption of very simple model of
solar wind acceleration in which the solar wind started the
coronal base at 10 km/s and was accelerated linearly within the
first 3 solar radii up to the real speed observed by Sakigake.
The three events well correlated with the expanding active
regions, giving an evidence of interplanetary extension of
expanding active regions.
June 3, 1993, 4:21-8:52 Event coincided with an active region
numbered #7513 which appeared at low latitude ( 2 degrees ) in
corresponding latitude on the Sun. In the Yohkoh Soft X-ray
Image, faint loops were seen above the active region. Such
loops seem to expand into interplanetary space intermittently.
No flares were observed on this active region.
June 10, 1993, 18:30-23:00 Event was correlated with an
active region #7519, whose latitude was 5 degrees. In the
Yohkoh image, there were many loops expanding outwardly from
the vicinity of the active region. At that time the Sun had
an active hemisphere in which there were many active regions,
and a quiet hemisphere without active regions. The active
region #7519 lied on the boundary between them, followed by no
other candidate active region. No flares were reported on this
active region, either.
July 1, 1993, 1:13-5:44 Event was correlated with an active
region #7531 in its very early phase. After the ejection of
planar magnetic structure, the source region became a registered
active region. The latitude was 1 degree. In the Yohkoh Image,
there were faint, large loops across the region. No flares
were observed around it.
Table 1. Typical Planar Magnetic Structures
----------------------------------------------------
Date Time Vsow(km/s) Bn/B dB/B Active Regions
Jun.03 04:21 353 0.00 0.79 7513
Jun.10 18:30 474 0.00 0.91 7519
Jul.01 01:13 349 0.06 0.91 7531
----------------------------------------------------
RELAXATION OF CONDITION FOR PLANAR MAGNETIC STRUCTURES
There were several other evens whose magnetic field vectors
were less distributed than those of the typical cases. Assuming
that a planar magnetic structure is an expanded loop-like
structure of magnetic field lines, it is likely that a
spacecraft passes a small portion of the structure and observes
an incomplete planar magnetic structure with less variable
field. Also, planarity alignment might not be essential for
expanding active region. Thus the condition for the planar
magnetic structures was relaxed to obtain more events of probable
active-region corona in interplanetary space.
When the condition were relaxed to be Bn/B < 0.2 and dB/B >
0.5, twelve planar magnetic structures were obtained and half of
them were mapped back onto low-latitude active regions that
appeared within 30 degrees from the equator. Thus we can say
that significant percentage of planar magnetic structures were
originating from active regions, but it should be noted that the
percentage of association with active regions did not increased
by the relaxation of the criteria.
Percentage of events associated with active regions increased
with the threshold value of dB/B. For large dB/B events, i.e.,
dB/B>0.8 or 0.9, percentage of association with active regions
was 75% or 100%, respectively. It suggests that active regions
are responsible for the variability of the magnetic field in
planar magnetic structures.
CHARACTERISTICS OF SOLAR WIND COMING FROM ACTIVE REGIONS
Characteristics of no-Parker type solar wind were searched in
all the solar wind data that were mapped back onto low-latitude
active regions which appeared within 5 degrees from the equator.
Among 10 cases of solar wind observations projected onto
active regions, significant percentage had magnetic field that
cannot be explained by Parker's model field. There were 4 planar
magnetic structures and 3 other type of no-Parker magnetic field.
The rest had normal solar wind magnetic fields whose directions
fit Parker's model. Ion density were more than 10 cm-3 in half
of the 10 cases, which is higher than average solar wind. The
distribution of dB/B showed slight tendency to be larger than
those of solar wind not associated with active regions.
The fact that many but not all the active regions had no-Parker
type field may be interpreted as follows:
(i) Not all the active region expand into interplanretary space,
(ii) Expanding active region ejects plasma intermittently,
(iii) Present method of projection of interplanetary object to
the Solar surface is not realistic.
RESULT
The interplanetary planar magnetic structures were
significantly correlated with expanding active region on the
Sun.
REFERENCES
Nakagawa, T., Solar source of the interplanetary planar magnetic
structures, Solar Physics, 147, p169, 1993.
Nakagawa, T., Nishida, A., and Saito, T., Planar magnetic
structures in the solar wind, J. Geophys. Res., 94, 11761,
1989.
Uchida, Y., et al., Publ.Astron.Soc.Japan, 44, L155, 1992.
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中川朋子,
太陽面活動域起源の惑星間空間磁場,
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第96回地球電磁気・地球惑星圏学会,名古屋,1994年10月20日
過去においては,太陽の活動域からは,その強い磁場のためプラズマが惑星間空間に引き出されることは無いと考えられてきた。しかし,近年「ようこう」軟X線画像で活動域から物体が放出される様子が捉えられ,また,惑星間空間で発見され「平面状磁場構造」と名付けられた 非Archimedean spiral磁場構造が 活動域に良く一致するなど,活動域の磁場及びプラズマが惑星間空間に引き出されていることを示唆する事象が報告されるようになってきた。
活動域の磁場が本当に 1 AU 近くまで引き出され得るのか,また,すべての活動域からプラズマが引き出され得るのかを知るためには,活動域から来た可能性のあるすべての惑星間空間磁場を調べ,活動域の磁場を反映するような特徴ある磁場構造を持っているかどうか調べる必要がある。
本研究では,「さきがけ」の観測した惑星間空間磁場を,同時観測された太陽風速度を使って太陽表面まで戻し,太陽面上の活動域に源があるものを集めてその磁場構造を調べた。1 AUでの観測を太陽表面まで戻すにあたっては,1-3 Rsun のうちに 10km/s から1 AU の値まで太陽風が加速されるという,ごく単純な速度モデルを仮定した。このモデルには残念ながらあまり根拠がない。現象が少なく,太陽と惑星間空間の対応付けに間違いの起こりにくい時に用いて良い結果が得られたので今回もこれを用いた。活動域はNOAAのリストのうち,緯度10度以内に現れたものを対象とした。解析期間は,活動域の同定の容易さのため,太陽面が静穏で「さきがけ」観測の多かった1993年1-7月とした。
この期間中,活動域からやってきた可能性のある太陽風は__例あり,そのうち 例でArchimedean spiral より 度以上離れた磁場の割合が大きく, 例で磁場のz成分が異常に大きく, 例が,磁場がある平面に平行でありながら激しく変化する「平面状磁場構造」であることが解った。
Tomoko Nakagawa (Tohoku Institite of Technology)
Interplanetary Magnetic Field Coming from
Active Regions on the Sun
Interplanetary magnetic fields which originate from active
regions on the Sun were investigated by using Sakigake
solar wind data to see if they have special features that
would refrect magnetic structures in the source regions.
All the solar wind data obtained by Sakigake at 1 AU from
the Sun during the period from January to July, 1993 were
traced back to the Sun according to their solar wind speeds
by assuming a simple model in which solar wind plasma was
linearly accelerated within 3 solar radii. The solar wind
data that were mapped back onto one of NOAA active regions
which appeared within 10 degrees in latitude were examined
and compared with those which were not. Among __ cases of
solar wind coming from active regions, __ cases had
magnetic field which was significantly out of 'average'
direction that is parallel to Archimedean spiral, __ had
extremely large z-component of magnetic field vector, and
__ showed 'planar' structures in which field vectors are
highly variable but are parallel to a plane.
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中川朋子,
衛星観測にもとづく惑星間空間の研究,
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磁気圏・電離圏シンポジウム,神奈川,宇宙科学研究所,
1994年11月8日.
惑星間空間の研究において近い将来に解明されるべき問題と,そのために必要と考えられる飛翔体観測について述べる。講演題目には「衛星」の語を用いたが,もちろん手段は衛星に限るものではない。
惑星間空間の物理で現在最も重要な未解決の問題は 太陽風の加速である。惑星間空間の研究の幅は非常に広いが,それらすべての惑星間空間現象の舞台である太陽風が,実際観測されるような値を持つ理由を説明することは 基本的に重要である。 太陽系プラズマ物理学の長年の問題であったこの太陽風加速の問題は,同じように太陽物理学の長年の問題「6000度の光球からいかにして100万度のコロナを説明するか」の問題とも不可分である。
1960年代初頭に始まった直接観測によって,太陽風が惑星間空間に常に存在することが証明されたのであるが,そのときに密度,組成,速度,温度(異方性も含めて),磁場 などの基本的な性質も明らかになった(Neugebauer and Snyder,1966; Ness et al.,1964; Ness et al.,1971 など)。これらの観測は,今もそのまま教科書に載せられる平均的な姿を捉えているといって良い。しかも この平均像は,観測以前に Parker(1958) の導いた理論とほとんど矛盾しないものであった。ただ太陽風速度だけが,太陽側の境界条件をParker理論に当てはめて得られる値(300 km/s程度)より速かった(例えば 307-830 km/s, Neugebauer and Snyder,1966)。
太陽風を観測する飛翔体はその後も数多く打ち上げられ(Wolfe,1972),太陽活動度の変化に伴う太陽風の変動が解るようになったが,太陽風速の分布が理論値より速い方に偏っていることには変わりはなかった。70年代中ごろには,太陽面上のコロナルホールが高速の太陽風を吹き出していることが解ってきた。コロナルホールの形状は,太陽風をより速くするのに適していると考えられるが,それだけではまだ観測を説明するのに不十分であった。
太陽風加速機構の解明には太陽近傍での太陽風の観測が必要であるが,このような領域での観測は唯一IPSの手法を用いるより無く,直接観測は0.3AUまで太陽に接近した HELIOS 1,2 があるのみである(Shwenn,et al., 1978)。太陽表面そのものの観測はX線やHα線などによっても行われ大きな成果をあげているが(内田・小川原,1994)その手法もせいぜい太陽半径の2,3倍程度に限られており,コロナが加速されて太陽風と呼ばれるようになる最も重要な領域だけが惑星間空間の観測からも太陽観測からもちょうど抜け落ちているのである。
このような状況下,太陽風加速の研究は主に理論とシミュレーションによって行われてきた。60年代から,100万度のコロナを説明するため磁気音波による加熱機構が考えられ,十分なフラックスの fast mode wave を仮定すればその拡散によって加熱が得られることが示された。また,Alfven wave はあまり拡散しないものの外向きの力を産むことが示され,加速機構として有力視されている(Barnes,1992 の review 参照)。これらの考えにとって,加速のもとになる十分な強さの波が太陽近傍に本当に存在するのかどうかを知ることは非常に重要である。さらに シミュレーションにとっても 三次元空間に広がってゆく太陽風の性質上,周期境界をとるより太陽側の境界条件から開いた境界へ向かってシミュレーションを展開してゆく方が現実に近いと考えられるが,スタート側の領域の物理量が押さえられないのでは非常に不利である。
Pioneer10, 11, Voyager1, 2 などの観測によって,太陽から 55 AU までの太陽風の速度,密度や温度の距離依存性が解るようになり(Gazis et al.,1994),Ulysses の観測により太陽圏の極方向の領域も初めてその姿を現しつつある。これらの結果を太陽風加速の問題に反映すること,また,惑星間空間で観測された現象を太陽面現象と注意深く対応づける努力はもちろん大切であるが,太陽風加速にとって最も重要な領域,数 Rsun ないし 数十 Rsun の直接観測は不可欠である。実際に探査体を送る場合の高温対策,太陽の発生するノイズの中での通信や制御の方法など,技術的にはまだ非常に難しい観測であるが,少なくとも
太陽からの距離に対する太陽風速度と温度の変化
加速を説明するのに十分な磁気音波,磁気流体波の存在およびその拡散の状況
の情報が得られれば,長年の問題を解く上で世界に貢献することができると考えられる。
参考文献
Barnes, Rev.Geophys., 30, p43, 1992
Gazis et al., Rev.Geophys., 99, p6561, 1994
Parker, Astrophys.Journ., 128, p664, 1958
Ness et al., J.Geophys.Res., 69, p3531, 1964
Ness et al., J.Geophys.Res., 76, p6643, 1971
Neugebauer and Snyder, J.Geophys.Res., 71, p4469, 1966
Shwenn et al., J.Geophys.Res., 83, p1011,1978
内田・小川原,日経サイエンス,p32, 1994
Wolfe, Solar Wind, SP-308, p180, NASA, Washington D.C., 1972
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