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足し算の微分は微分の足し算でいい
{f(x)+g(x)}′=f′(x)+g′(x)
定数倍の微分は、微分の定数倍でいい
{a f(x)}′=a f′(x)
というのを覚えると、
掛け算の微分{f(x)⋅g(x)}′も、
微分の掛け算 f′(x)⋅g′(x) でいいんじゃないかと早とちりする人がいます。
でもちょっと待って。
{x2⋅x2}の微分は、{x2}′⋅{x2}′ ですか?
{x2⋅x2}′={x4}′=4x3 ですよね。
一方、
{x2}′=2x なので、
{x2}′⋅{x2}′=2x⋅2x=4x2 です。
同じになりません。
掛け算の微分は、微分の掛け算ではない
ではどうなるのか、やってみましょう。
掛け算の微分
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関数 f(x) と関数 g(x) を掛け算して作った関数 F(x)=f(x)⋅g(x)
導関数は
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F′(x)=limh→0F(x+h)−F(x)h
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F(x)=f(x)⋅g(x) の式中の x は「記入欄」だと思って
F( )=f()⋅g() と書くと
F(x+h)=f(x+h)⋅g(x+h)
これを代入
{f(x)⋅g(x)}′=limh→0f(x+h)⋅g(x+h)−f(x)⋅g(x)h
ここで、知ってる形 limh→0f(x+h)−f(x)h を使いたいんですが、
今やってる式にでてきてるのは f(x+h)⋅g(x+h) なので、
「知ってる形」に g(x+h)が掛け算されてると考えるには
−f(x)⋅g(x+h)が必要です。でもそんなのないよね...
そこでどうするかというと
ないものは勝手に作る!そして償う!
分子の2項めに、欲しかった−f(x)⋅g(x+h)を勝手に書いて、
{f(x)⋅g(x)}′=limh→0f(x+h)⋅g(x+h)−f(x)⋅g(x+h)+f(x)⋅g(x+h)−f(x)⋅g(x)h
その直後に+f(x)⋅g(x+h) して元に戻したのです。
こういう変形は、与えられた式をただ何となくいじっていてもできません。
やろうと思ってわざとやらないできない仕掛けです。
でもアイディアを理解できたら簡単です。
分子の前半2つを共通の g(x+h)でくくり、
分子の後半2つを共通の f(x)でくくれば、
{f(x)⋅g(x)}′=limh→0 {f(x+h)−f(x)} g(x+h)+f(x){g(x+h)−g(x)}h=limh→0{f(x+h)−f(x)hg(x+h)+f(x)g(x+h)−g(x)h}=f′(x)⋅g(x+0)+ f(x)⋅g′(x)
つまり 掛け算の微分は 片方微分・片方そのまま+片方そのまま・片方微分
{f(x)⋅g(x)}′=f′(x)⋅g(x)+f(x)⋅g′(x)
になるってことです。5行で導出できました。
- 使用例
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(x2⋅cos(3x))′=(x2)′⋅cos(3x)+x2⋅(cos(3x))′=2x⋅cos(3x)+x2⋅(−3sin(3x))=2x⋅cos(3x)−3x2⋅sin(3x)
注:後半( )必要 x2⋅−3sin(3x)と書いてはだめ
⋅−とかくと減点
- 次の関数を微分しなさい
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24)(x2−1)e3x
25)e−2xcos(1000x)
26)sin(ax)cos(bx)
27)cos(5x)x
28)sin(5x)e2x
書いたら時刻を控えて
答え合わせ
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