index 1 2 3 4 5 6 7 8

解析 I (7回目)加法定理

加法定理の使用例 1
電卓なしでふつう覚えているのは30°、45°、 60°ですが
たとえば 75°なら、 30°+45° と考えることによって、加法定理を使って \begin{align} \cos{(30° + 45° )} = \cos{30°}\cos{45°}-\sin{30°}\sin{45°} \\ \sin{(30° + 45° )} = \sin{30°}\cos{45°}+ \cos{30°}\sin{45°} \end{align} と書けるので、これに値を代入すれば
\begin{align} \cos{(30° + 45° )} = \frac{\sqrt{3}}{2} \frac{1}{\sqrt{2}} - \frac{ 1 }{2} \frac{1}{\sqrt{2}} \\ \sin{(30° + 45° )} = \frac{ 1 }{2} \frac{1}{\sqrt{2}} + \frac{\sqrt{3}}{2} \frac{1}{\sqrt{2}} \end{align}
のように値を求めることができます。

90°を、 30°+60°と考えると
\begin{align} \sin{(30° + 60° )} = \sin{30°}\cos{60°}+ \cos{30°}\sin{60°} \end{align} と書けるので、これに値を代入すれば
\begin{align} \sin{(30° + 60° )} = \frac{1}{2} \frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2} \frac{\sqrt{3}}{2} = \frac{1}{4}+ \frac{3}{4} = 1 \end{align} $\sin{(89.99999 ...° )} $から考えたときと 同じになりました。

加法定理の使用例 2

\begin{align} \cos{(\alpha + \beta )} = \cos{\alpha}\cos{\beta}-\sin{\alpha}\sin{\beta} \end{align} の $\beta$ のところに $-\beta$ を代入すれば、
\begin{align} \cos{(\alpha - \beta )} = \cos{\alpha}\cos{(-\beta)}-\sin{\alpha}\sin{(-\beta)} \end{align} になりますが、角度がマイナスになった時、

コサインは値が変わらず $\cos{(-\beta)}=\cos{\beta}$
サインは符号が反転する $\sin{(-\beta)} =-\sin{\beta} $ ので
\begin{align} \cos{(\alpha - \beta )} = \cos{\alpha}\cos{\beta}-\sin{\alpha}(-\sin{\beta} ) \end{align} つまり \begin{align} \cos{(\alpha - \beta )} = \cos{\alpha}\cos{\beta}+\sin{\alpha}\sin{\beta} \end{align} 最初の式に並べると \begin{align} \cos{(\alpha + \beta )} = \cos{\alpha}\cos{\beta}-\sin{\alpha}\sin{\beta} \\ \cos{(\alpha - \beta )} = \cos{\alpha}\cos{\beta}+\sin{\alpha}\sin{\beta} \end{align} 右辺は、半分同じで、半分符号違いですから、
この2本を足すと$\sin{\alpha}\sin{\beta}$が消えて$ \cos{\alpha}\cos{\beta}$が残り、
この2本を引くと$ \cos{\alpha}\cos{\beta}$が消えて$\sin{\alpha}\sin{\beta}$が残り、
\begin{align} \cos{(\alpha + \beta )} + \cos{(\alpha - \beta )} = 2 \cos{\alpha}\cos{\beta}\\ \cos{(\alpha + \beta )} - \cos{(\alpha - \beta )} = 2\sin{\alpha}\sin{\beta} \end{align} 両辺を2で割り左右入れ替えると \begin{align} \cos{\alpha}\cos{\beta}= \frac{\cos{(\alpha + \beta )} + \cos{(\alpha - \beta )} }{2} \\ \sin{\alpha}\sin{\beta}= \frac{ \cos{(\alpha + \beta )} - \cos{(\alpha - \beta )} }{2} \end{align} この式のすごいところは、サインやコサインの掛け算を、
コサインの足し算や引き算に直せるところです。

同じように \begin{align} \sin{(\alpha + \beta )} = \sin{\alpha}\cos{\beta}+ \cos{\alpha}\sin{\beta} \\ \sin{(\alpha - \beta )} = \sin{\alpha}\cos{\beta}- \cos{\alpha}\sin{\beta} \end{align} から、 \begin{align} \sin{(\alpha + \beta )} +\sin{(\alpha - \beta )}= 2\sin{\alpha}\cos{\beta} \end{align} 2で割って \begin{align} \sin{\alpha}\cos{\beta}= \frac{ \sin{(\alpha + \beta )} +\sin{(\alpha - \beta )}}{2} \end{align} サインとコサインの掛け算は、サインの足し算で書き直せるのです。


この性質はとても便利で、通信にも情報処理にも使います。
今後の専門科目の勉強に繰り返し出てくることになります。


次へ